「東北巫俗再考−山形県内の「口寄せ巫女」と村落社会−」
第147回木曜会、@上野区民館、1999年01月11日
- 1998年11月の白山人類学研究会で報告した事例に若干のディテイルを加えつつ、やや異なった角度から考察したもの。日本国内の巫俗研究を1910年代(柳田國男の「「イタカ」及び「サンカ」」)、1930年代(中山太郎の『日本巫女史』)、1950年代(堀一郎の『民間信仰』)、1970年代(櫻井徳太郎の『日本のシャマニズム』)、1990年代(鈴木清訓、鈴木正崇、神田より子、及び私自身の研究)という時代区分をした上で、堀一郎が「人神」の問題と絡めて巫俗と村落社会の関係に早くから言及していたのにも関わらず、その後の巫俗研究における関心事が、巫女・修験者のパーソナルな部分や、その主な活動と見なされていた「死霊の口寄せ」に余りにも偏っており、最近になってようやく村落社会における「共同祭祀」的な活動に再び目が向けられることになりつつあることを述べ、山形県内における「口寄せ巫女」達による「共同祭祀」的な活動を、なるべく最近の事例を中心にして報告し、若干の考察を行った。まだまだ研究の途上であり、各村落のモノグラフも完成していない段階なので、早急な結論の提示は避けたが、今後はさらなる情報収集と、論点の整理、そして巫俗と村落社会の関係についての一理論の構築に向けて邁進したいと思う。以上。