「宗教と社会」学会第14回学術大会・テーマセッション報告、@同志社大学今出川キャンパス、2006/06/04

宗教講の現在
                ―山の神講の変容を巡って―

本報告は、「宗教と社会」学会第14回学術大会第2日に行なわれたテーマセッション「地域社会における伝統的宗教習俗と新旧宗教 ―宮城県仙台市泉区およびその周辺の多角的フィールド調査から―」の中でなされた研究報告の一つである。ここでは旧根白石村地区=現仙台市泉区の西半分で長らく行なわれてきた各種宗教講についてその概要を示しつつ、中でも比較的変容・解体度合いの低い女性による山の神講に関し、

その1. そもそもこの講においてはかなり早い段階から安産祈願というものは第二義的な目的であった可能性があり、だからこそ乳幼児や産婦の死亡率が劇的に低下し、出生率の低下や女性達の高齢化が進む中でも比較的長く存続し得たのではないか。

その2. そしてまたこの問題は実は村落社会内での構造上の問題として考えるべきことがらであり、そういう視点からすればこうした講が女性のみが集まれる貴重な場として長らく重要な機能を果たしてきたことが、その存続に大きく寄与してきたのではないか。

ということを述べた。