オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』

このブログにおける記述を見る限り、最近めっきり読書量が減っているように思われるかも知れないわけですが、実際にはそうでもなくて、結構古い物を漁っていたりします。一昨日までかなりの時間をかけて読んでいたのが、原書は持っていたのに放置していて、3年ほど前にようやく翻訳版が刊行された英国の作家オラフ・ステープルドン(Olaf Stapledon)の『最後にして最初の人類』(国書刊行会、2004。オリジナルは1930年刊)という書物。

私見では思弁的SFの先駆的作品とも言いうるものとさえ思うこの本において、ステープルドンは20世紀から始まってその後20億年に及ぶ人類の未来史を構想しています。その暗澹とした記述に何とも英国的なペシミズムを感じさせながらも、それでもなお、決して人間の営みというものを否定はしないという立場が表明されているように思いました。ここで特筆しておくべきなのはその人並み外れた想像力で、特に序盤に於ける「火星人」との戦争についての記述には驚嘆を禁じ得ませんでした。人類の「終焉」を描くラストのあたりも素晴らしいです。

と、云う事で。