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一昨日の話になるのでしょうか。懸案の臓器移植法改正案のうち、A案が衆院を通過しました。今後は参院での審議を経て決議が行なわれ、そのまま可決か、場合によっては衆院での再可決になりそうですが、果たしてこの改正案がすんなりと施行に至るかどうか、非常に微妙なところではあると思います。

そうではあるのですが、取り敢えずここでは、私個人としてはこの改正案=A案に反対です。これははっきりと申し上げておきたいと思います。理由は以下の通り。

この改正案では、現行法では脳死状態での臓器移植が認められていなかった、本人が必ずしも移植を望まない、あるいはその可能性があるケースにおいても(明確に拒否していない場合ですね。)、家族の同意により臓器移植が可能になり得るわけです。

要するに、この法案が可決・施行されると最悪なことが起こり得ます。明確に脳死状態での臓器移植を拒否する、という意思表示などというのは、実際のところ大半の人は行なわないでしょう。つまりは、その結果として、本人の意思に反して脳死臓器移植が敢行される、というケースが多々生じることになるでしょう。更に言えば、移植可能年齢を15歳以下の子供にまで広げることにより、拒否すべきなのかそうでないのかという判断を自分の意志で出来る年齢に達していない場合でも、脳死臓器移植が行なわれてしまう可能性があるわけです。可能性がある、というよりはそうしたことを可能にするために作られた改正案という見方も出来るでしょう。

それで良いのでしょうか?賛成に投じた議員たちは、そうしたケースに付き、日本人の身体観や死生観等といった信念体系などを考慮に入れつつ、真剣に考えてみたのでしょうか?

もう一つ大きな問題として、子供の脳は回復力が高い、ということも言われています。脳死とは年齢が低い場合には必ずしも不可逆的な全身死への一プロセスではないのです。

どうみても問題だらけ、としか言いようがないこの改正案ですが、これについては一度廃案とし、議論を尽くした上で全ての国民にとりベストな形で臓器移植法が改正されることを望みます。

と、云う事で。

中部人類学談話会第193回例会のお知らせが届いています。修論発表会ですね。行きたいのはやまやまなのですが、私はフランス遠征前なので三重県内で練習です。以下、引用します。

会員各位
中部人類学談話会第193回例会開催のお知らせ(2009/5/1)

下記の要領にて、第193回中部人類学談話会特別例会を開催いたしますので、御出席下さるよう、ご案内申し上げます。是非ご参加ください。(入場無料・参加自由)

中部人類学談話会 会長  稲村 哲也


☆ 日時:平成21年5月16日(土曜)午後13時より(開始が30分繰り上がっていますので、ご注意ください)
☆ 場所:椙山女学園大学 現代マネジメント学部 地下一階001教室(名古屋地下鉄東山線星ヶ丘駅下車 徒歩5分)

* 会場付近は、駐車スペースがありませんので、車でのご来場は固くお断りいたします。

☆ 話題提供者と話題:
■ 2009年 修士論文発表会(2008年度提出分)

* 13:00-13:40 林泰子(名大)「過疎山村地域における民俗芸能の継承に関する研究:主に戦後の奥三河地方と花祭りの事例から」
* 13:40-14:20 伊藤渚(名大)「首都ビエンチャンを中心としたラオス手織物工芸:市場化・国際化するラオス社会のなかの伝統染織」
* 14:20-15:00 松平勇二(名大)「ジンバブエ独立闘争歌『チムレンガ・ミュージック』の研究」
* 15:00-15:40 金秋延(県大)「在日朝鮮人の民族教育からみるエスニシティ--中国朝鮮族との比較の視点から」
* 15:40-15:50 休憩
* 15:50-16:30 鷲野明美(県大)「ドイツにおける高齢受刑者の処遇--日本との比較」
* 16:30-17:10 角友恵(県大)「メキシコのテオティワカン遺跡における『蝶』の表象様式」

去る4月29日に、東京外国語大学教授で社会人類学分野におけるイスラーム研究の第1人者であった大塚和夫氏が脳梗塞のため逝去されたそうです。享年59歳。

イスラーム社会・文化に関する数々の啓発的な著書を刊行し、2002-2003年には日本民族学会長を務めるなど、誰からも尊敬される研究者でした。まだまだこれから、というご年齢だっただけに、誠に残念です。心からの追悼の意をここに表したいと思います。

と、云う事で。