制作舎 翔 『思い出を売る男』、と。

去る12月10日(土)、千葉県文化会館小ホールで行なわれておりました、制作舎 翔 設立15周年記念公演第二弾、加藤道夫作『思い出を売る男』を観て参りました。簡単に報告などを。

金曜日から二日間にわたっての計3回公演でしたが、私が観たのは二日目の1回目、でした。開演13:30。

取り敢えず、私の母校からほど近いホールですので、ちょっと懐かしさに浸りながらの鑑賞となりました。良く考えてみたら話の中身も中身ですね。

さてさて、『なよたけ』などで知られる原作者の加藤道夫という人は1953年に亡くなっておりますので(自殺)、作品はそれ以前のもの。調べたところ1946年に『三田文学』に発表されてます。

舞台は終戦直後の東京。軍服にサキソフォンを持った男が「思い出を売ります」という看板を掲げた路地裏。そこには様々な人がやってきては去っていく。サキソフォンの音色が呼び覚ます様々な形を持った思い出たち。人々はそこで何を見つけ、あるいは何を失ったことに気付くのか。そんなお話。

この作品、書かれてから45年後に、ある意味加藤道夫が育てたと言っても過言ではない劇団四季によって初演され、その後は同劇団のレパートリィとして定着しています。今回の演出や美術、あるいは音楽もかなりそれによっているそうです。ちなみに、音楽は加藤道夫とも関係の深い林光が担当していました。この辺の事情は下記の劇団四季公式サイトに詳しく出ていますので一度ご訪問下さい。

劇団四季版『思い出を売る男』

毎度のことながらこの人たち、アマチュア劇団、ではあるとは言え、良く鍛えられているな、と思いました。演出・台詞などなどが非常に丁寧に練り込まれていて、実に感動的な舞台に仕上がっていました。

もう一つ、前にも述べましたが、この劇団の、古典を地道に、しっかりとやっていらっしゃるその活動ポリシィにはいたく敬服しています。これは何度でも繰り返し言いたいことなんです。そして、若い人がそういうことに積極果敢に参加していることが本当に素晴らしい。これからも宝探しを続けていって頂きたいです。心から応援しています。

と、云う事で。