奈須きのこ『空の境界』

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来週(12/1)から順次7本連続でその劇場版映画が公開されることになっている奈須きのこの『空(から)の境界』(上・下 講談社ノベルス、2004)を数日前に読了しました。一応エポックメイキングな作品だと思うのでここで紹介しておきますが、その刊行経緯はと言いますと、2001年に同人小説として発表されていたものを講談社が自社ノベルスに入れたもの、ということになります。

さてさて、その中身はと言いますと、「直視の魔眼」を持つ和装の少女・両儀式(りょうぎ・しき)とごく普通の少年である黒洞幹也(こくとう・みきや)を中心とした伝記小説なのですが、これが大変面白い。基本的にはキャラクタ小説にジャンル分けできる作品であり、かつまたライトノベル的テイストを持つ小説ではありますけれど、その実今日の世界についてのとても深い洞察が行なわれています。西尾維新の一連の作品にも通じる部分がありますが、平凡なもの、凡庸なものの全面肯定みたいなことが今のトレンドなのかな、という感想を持ちました。

ちなみに、解説は上下巻とも笠井潔が書いていますけれど、これもまた大変面白い文章です。

と、云う事で。