深緑野分『スタッフロール』

私設サイト書籍紹介欄に、深緑野分による長編『スタッフロール』文庫版を追加しています。

第167回直木賞候補作になります。実写特撮からCGへの変遷の中でのクリエイタたちの生きざまなどが描かれますが、いわゆるヒューマン・ドラマ、ではほぼなく、テクノロジと人間の関係がメインなように、そしてテクノロジの部分への傾斜が結構大きいな、と感じられました。多分、選考委員が気にしたのはそこなんだろうな、と邪推します。

個人的には、テクノロジの話だけでも良いのですが。まあ、それだとドキュメンタリになってしまいますね。大宅賞狙えたかも(笑)。笑い事ではなく、本書にはそのくらいの情報量が含まれています。(でも読みやすいです。)

まあ、テクノロジとはいっても、今のところ作ったり使ったりはほぼ人間がやっているので、そういう意味では正真正銘のヒューマン・ドラマとも言えます。でも、きっとそうは読めなかったんだろう、そう読めというのが無理なのかも、と思ってしまうのですが...。

結局のところ、私はこの作品、非常に好きです。早くも今年のベスト1決定です。

と、云う事で。