ウラジーミル・プロップ『魔法昔話の研究』

私設サイトの書籍紹介欄に、『昔話の形態学』の著者として知られるウラジーミル・プロップによる論文集『魔法昔話の研究 口承文芸学とは何か』を追加しています。文字を介さないで伝承される文芸といえども、現実の刻印を押されていないわけもなく、ということがプロップの主張。そこからスタートした切れ味の良い分析は見事なものです。

しかしながら、起源を扱うのは誠に大変。口承文芸は現実を反映している、といっても、実のところ、あまりに古い出来事についてはホントにそうだったのかどうなのかを確認のしようがない、という難点があるのです。私がやっている研究もそうなのですが、今は起源については問わず、そして語らず、そうではなくてむしろ、伝承間のズレとか、語られ方、伝えられ方の方に研究の重点が置かれているわけです。

と、云う事で。