こんにゃく座『森は生きている』、と。

去る9/16(日)、六本木の俳優座にて、オペラシアターこんにゃく座による林光追悼公演『森は生きている』新演出版を観て参りました。『ドイツ・レクイエム』明け+風邪かなり悪化、という状態でしたが、前売りを買っていた11時の回を観ました。以下、簡単に報告などを。

9/6から始まっていて、17日までですので、ほぼ終盤です。勿論、最初から全力、なのは分かっておりますが、やはりこういうものは回を重ねる毎に良くなっていくものですよね。本当に隙がないといいますか、非常に洗練された舞台でした。

著名な作品なので知らない人も少ないと思うのですが、簡単に書いておきますと、原作はサムイル・マルシャーク。ソビエト連邦時代の1943年に出版されたもののようです。日本では湯浅芳子による訳が岩波から1953年に出てます。

これを翌1954年には俳優座が初演。1959年からは劇団仲間が上演を引き継いで今日に至ります。オペラ仕様は台本・作曲とも林光が担当して1992年に完成。以来20年間にわたり、こんにゃく座によって演じ続けられている、ということになります。

あらすじはこんな感じです。大晦日の夜、とある国の女王が4月にならないと咲かないマツユキ草を摘んできたものに莫大な褒美を出す、という常軌を逸したお触れを出します。継母の言いつけでマツユキ草を探しにでた娘は、降りしきる雪の中、たき火を囲んで暖まる12ヶ月の精霊に出会い、マツユキ草を手に入れます。継母からマツユキ草を受け取った女王は、家来達を連れてマツユキ草探しに出発。しかし、厳しい寒さと雪のため遭難しかかることになってしまうのでしたが、さて、というお話です。

人間と自然との関係について考えさせてくれる名作であると同時に、端的に権力批判というテーマを内包するこの作品ですが、やはり何と言っても楽曲が素晴らしいですね。最高傑作のひとつではないかと思います。近いうちにスコアを手に入れたいと思いました。

実はこの後横浜に出向いて一柳慧による新作オペラを観ることになるのですが、演者のスタンスにかなり大きな違いがありまして、こちらは兎に角話が良く分かるように、しゃべり、動き、歌う、ということが徹底されていました。20年の時を費やして練り込まれたということになるのでしょう、実に実に、完成度の高い舞台でした。

と、云う事で。