BCJ公演『パウルス』、と。

昨日(10/14日)になりますが、東京オペラシティ・コンサート・ホール・タケミツメモリアルで行なわれておりました、同ホールの15周年記念公演、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)によるフェリックス・メンデルスゾーン作曲『パウルス』を聴いて参りました。以下、簡単にご報告を。

私自身が前日に本番がありまして、東京シンフォニエッタの定演(西村朗特集!!!)に行けず、また、BCJの公演と何故か同じ時間帯にぶつけられた新国立の『ピーター・グライムズ』も観られず(計5回公演ではあるのですが...。この日以外に一体いつ行けるというのだ。)、なんていう結構厳しい日々だったわけですが、まあ、前々から期待に期待していた『パウルス』が色々な事情により図らずも鑑賞できて、誠に幸いでした。結構複雑なんですけど。

この、むしろ『聖パウロ』という名で知られているんじゃないかと思う作品、メンデルスゾーンが27歳の時に完成させた宗教オラトリオ、となります。メンデルスゾーンはその短い生涯の中でオラトリオはこれと『エリア』のみを完成させただけにとどまったわけですけれど、この曲、間違いなく『エリア』に比べ知名度はかなり低いと思います。

しかし、そこはBCJ。J.S.バッハとその周辺の音楽をとことんまで追究してきたBCJが、今回はJ.S.バッハとの関係が極めて深いメンデルスゾーンの、まさにバッハへのオマージュともいうべき作品を、敢えて初演当時に近い楽器群を使い、編成をいつもよりも拡大して提供することで新たな光を当てよう、という企画。まさに垂涎ものですね。ちょっと汚いですが。

作品は、第1部ではキリスト教徒に迫害を加える側にいた異教徒たるサウロ(後のパウロ)が、イエスの声を聴いて改心し洗礼を受けるところまでを、第2部ではパウロと名を変えて布教に赴いたものの各地で迫害を受け、それでもあきらめずに福音を伝えることを決意し旅立つまでを描きます。

室内楽的な一体感と、大編成的なダイナミックスの双方を随所に感じさせる演奏で、さすがに並の鍛えられ方ではないな,と思いました。なんだかんだ言ってかなり長い曲ですが一本の線で見事に繋がっておりまして、そのある意味マニアックであると同時に、これぞスタンダード?、と思わせるような音楽作りにはまさに脱帽という感じでした。堪能しました。

まあ、細かいところを言い出すと実のところキリはありません。あんまり詳しく書きませんが。しかし、そんなことが些細なことに感じられるような、名演だったと思います。

と、云う事で。