新国立劇場 オペラ研修所公演『カルディヤック』、と。

昨日(3/3)になりますが、初台の新国立劇場中ホールで行なわれておりました、同劇場のオペラ研修所公演、P.ヒンデミット作『カルディヤック』を観てまいりました。以下、簡単にご報告を。

基本データ、というかオペラであることもあり、これはもう書ききれないくらいなんですが、ざっくりいくと指揮が高橋直史で管弦楽がトウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズ。ソリストは金曜日からの3公演でトリプル・キャストが組まれてましたが、ほぼ全員研修生(個々に挙げられなくてごめんなさい。)。合唱は栗友会の32名で合唱指揮は栗山文昭。演出と演技指導が三浦安浩で美術が鈴木俊明。照明が稲葉直人、といった布陣です(以上、敬称略)。

1895年生まれのヒンデミットもとうとう没後50年を迎えたわけですが、その記念、にもなっているのだと思います。この曲、同時代に生きた作曲家たちがこぞって取り組んでいた感のある無調性音楽をむしろ否定した、新古典派の一人に数えられる彼による、30歳前後の作品ですが(1926年発表)、どうやら日本初演、とのことです。

私自身も初めて観る演目でしたが、基本的には切り裂きジャック的、ある意味世紀末的ななお話。基本的にポリフォニックな、場合によってはバロックを思わせるような音作りに思わずニヤリとさせられつつ、とは言えすさまじい不協和音が随所に鳴りわたり、といういかにも20世紀的な音響感にも陶然とすることしきりでございました。

作るのは大変だったであろう舞台装置や隅々まで行き届いた演出の見事さもさることながら、定評あるオーケストラはさすがに切れ味が鋭く、いつも一緒に歌わせていただいている栗友会メンバも実に堂々たる歌いっぷり演技っぷりでした。こういう舞台を勝ち取ること自体がきっと大変なのだろうソリストたちも、日々の研鑽の成果を見事に発揮しておられました。是非飛躍していただきたいものです。

最後になりますが、全体として、本当に質の高い舞台だと思いました。両親もその創設時から頻繁に足を運んでいた新国立劇場の各公演、近年とみに評価高いですからね。良い流れができているのでしょう。是非ともまた拝聴しに参りたいと思います。

と、云う事で。