藤木稟さんの本

先週頭くらいに、ちょっと前(2001-2002)に出ていた既に絶版となっている藤木稟さんの『CROOK 1-5』(幻冬舎文庫)をオンライン古書店その他で集め切り、これを読んでいました。

あっという間に絶版になってしまったせいで私の目に止まる事もなかったわけですが、これはなかなかのもの。家庭内暴力その他を何とも禍々しいというか極めて絶望的なタッチで描いた傑作だと思います。

一冊にまとめたものなども出る様子が無いようで、このように今ひとつ評価が高くない理由は、登場人物への感情移入が基本的に不可能、ということにあるのかとも考えます。主人公の中学生はもとより、謎解き役のケース・ワーカの性格といったらこれは言語道断。他のキャラクタもおしなべて人格破綻していて、これは狙ってやってるのでしょうけれど一般には受け入れられなかったようです。

小説を書く、というのもなかなか難しいものですね。

と、云う事で。