デイヴィッド・フィンチャー『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

私設サイトの映画紹介欄に、デイヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演の大作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を追加しています。観たのは二月ほど前のような...。

長い映画です。一人の男の人生を描くのですから、これは致し方ないところですね。個人的にはこの映画、企画として余り芳しくない出来だな、と思ったのですが、問題は、エンターテインメントに徹することは全くなく、かと言ってアーティスティックでもないし、あるいはきっとそこを目指したんだろうけれど、人間について、永遠について、生とは、あるいは死とは、そしてまた老いとは、といった大事なことを深く掘り下げようとする人間ドラマにも全面的にはなり得ていないところにあるのではないかと考えます。

要するに、SFじみたというか基本的にファンタジィな設定が、テーマとうまくかみ合っていないと言いますか、別にそんな設定じゃなくても語れる、あるいはむしろ、そんな設定がテーマを卑小化ないしは無効化させてしまっているようにさえ思われました。同じテーマを掘り下げたものですと、『おくりびと』などがその成功例です。あくまでも現実に即して語っているあちらの方が遙かに人間が描けてますよね。

と、云う事で。