ろくもんめ。

栗友会の『もんめシリーズvol.6 ろくもんめコンサート ―女声合唱新作を集めて―』を聴いてきました。場所は紀尾井ホール、上智大の裏手、ですね。以下、演奏の順番にコメントを。

最初は新実さんの曲『女声合唱とピアノのための 六つの小唄』。2008年に作られたものだそうです。今回は昨年初演演奏をした「女声合唱団九月の風」のみなさんと、群馬からお越しの「あんさんぶるめい」による合同演奏。やや硬質な詞章に柔らかい旋律・ハーモニィがマッチした良い曲だと思います。

次は南聡さんの初演作品。『春のマドリガル集』と題されたピアノ伴奏付きの明るい曲ですが、これが今回のコンサートの中でも特に良かったですね。思わず楽譜をチラッと見たくなったのですが、初演なため販売しているはずもなし。そのうちに出版されて、色々なところで歌われるのではないかと思います。

休憩を挟んで新実徳英さんの『二つのギリシャ抒情 無伴奏女声合唱のための』へと。最近アカペラが基本になってますので、これは身を乗り出しつつ拝聴。クラスタが多用された非常に難しい曲です。1曲目に用いられている詩がサッポオのものなのですが、実はこれ、鈴木輝昭さんの『詞華抄』でも使われているんですね。ただし、こちらは呉茂一訳です。既に楽譜が音楽之友社から出ておりまして、今後は各種コンクールなどで大いに歌われるんじゃないかな、と思います。大変ですけど、がんばって下さい。

続いては寺嶋陸也さんの『「コワレタイ」組曲 女声合唱とピアノのための』。もともとシアター・ピース用だった曲を組曲化したものなのだそうです。組曲版委嘱初演となります。歌われる詩は加藤直という方のもの。なんとお読みするんでしょうね。まあ、何ともユニークな詩です。それはさておき、この曲で特筆すべきは作曲者でもある寺嶋さんのピアノでした。ゾクゾクしました。良くあんな音が出せるものだなぁ、と。大変な弾き手だと思います。歌あり台詞ありの合唱も表情豊かでとても良かったですね。

最後は全員合唱による寺嶋さんの委嘱初演曲『ひかり 女声合唱とピアノのための』。ソプラノ・ソロ付きの曲です。寺嶋さんのピアノはここでも冴え渡ってました。アンコール・ピースとして末永く演奏されていくのではないでしょうか。

新実さんの『六つの小唄』から始まって、全員合唱による『ひかり』まで、とにもかくにも新作ばかり。新実さんの曲然り、南さんの曲も6つの曲からなる、などなど、細かいところに拘りというか仕掛けみたいなものがちらちら見え隠れするとても充実したコンサートでした。

次は「ななもんめ」です。何気に私も出演するわけですね。お楽しみに。

と、云う事で。