合唱団るふらんコンサート、と。

去る12月9日(金)、勝鬨の第一生命ホールで行なわれていた合唱団るふらんのコンサートに行って参りました。簡単にご報告などを。

この日は2回公演。昼夜なのですがさすがに昼は行けず。夜も19時15分開演だから最初からいられましたが、19時だったら正直厳しかったです。

演目は『女声のための合唱オペラ コエ・カラダI たびたびオトメ そして旅 ―Yに―』というもの。タイトル長いですね、と思ったのですが、要するに『たびたびオトメそして旅』、の部分が本題です。最初の方は説明で、後ろのは献辞、となるわけですね。

台本と演出は『アシタ ノ キョウカ』でお世話になった加藤直さん、そして曲は港大尋(みなと・おおひろ)さんという方です。当然のことながら委嘱初演。

合唱オペラなので、台詞はかなり多いです。台詞の合間にソロ歌唱含む歌が入るような具合。振り付けなどの動きもかなり凝ってます。で、演奏はピアノとコントラバスとパーカッションというトリオ。この3人が演奏しているのは全面的にジャズ。そして合唱パートはというとゴスペルとかロック・オペラに限りない近いものに思われました。テイストとしては全面的にクラシカルではなくポピュラーです。

事前にというかかなり早い段階に楽譜をチラ見させて貰っていたのですが、合唱譜にもコード進行が書かれてました。なるほどな~、です。そういうものに結構慣れ親しんできた人間なのであんまり違和感なかったですけどね。元々ロック・バンドとかやってましたし。

中身は『アシタ ノ キョウカ』のようなメタ文学っぽい難解系かつ変化球系ではなく(まあ、あれも言ってることはその実かなりの部分フェミニズムなんですけどね。)、結構ストレートな世のあり方に対する批判、なのだと解釈しました。世のあり方、というのは要するにこの世界におけるジェンダー構成のありようです。それを批評・批判している、ということはこの作品の根底にあるのは要するにフェミニズムなんですね。

それはそれとしまして、オトメと言えば川村邦光です。川村邦光はM.フーコーを下敷きにして日本近代における「オトメの歴史」を再構成し直しましたが、加藤直さんの批評スタイルは基本的に唯物史観=K.マルクスです。で、マルクス主義フェミニストの代表は何と言っても上野千鶴子さんです。つまりは、川村的な題材を、上野的な視座で切ってみた、というのがこの作品なのだと勝手に解釈しました。

ホントに勝手な解釈で済みません(笑)。まあ、職業柄なので許して下さいね。

そういう感想は感想として、この台本と曲を、直前まで物凄くバタバタしながらも、結局のところ、何とかこなした、というレヴェルじゃない凄い舞台にしてしまった、るふらんの皆さん、音楽監督で指揮者の栗山文昭先生、あるいは楽器奏者や演出家に振り付け師、そして照明や美術といった裏方さんたちの計り知れない力量には感銘を受けた次第です。ありがとうございました。

と、云う事で。