Tokyo Cantat 2010 クロージング・コンサート

一昨日になりますが、第15回Tokyo Cantatのクロージング・コンサートを聴きにすみだトリフォニーホールまで出向いて参りました。以下、余り時間がないので簡単にレヴュウを。とか言いながら結構長くなってますが...。

さてさて、今回は昨年とは違い出演者の顔がほとんど分かりますので、どことなく身内感が漂うコンサートでした。招聘講師=指揮者はエルヴィン・オルトナー、カール・ホグセット、サイモン・キャリントン(以下、適宜敬称略)というおなじみのメンバ。全体として、構成も素晴らしく、そしてまた演奏水準も非常に高いコンサートだったと思いますが、特に印象に残ったところを記しておきます。

まずは第2回若い指揮者のための合唱指揮コンクール1位となった加藤拓さん指揮による、「PVD+ゆうか」である合唱団Voces Arbosの演奏。寺嶋陸也氏による初見用課題曲、ヴィクトリア、ブラームスというラインナップでしたが、上手い合唱団ですね。そこから良いサウンドを引き出す加藤氏も見事!これからも研鑽を重ねていって下さい。応援してます。

続いての登場はホグセット指揮による若きカレッジ・クワイア2010の演奏。ちょっと人数的に厳しいパレストリーナは置くとしまして、プーランクの結構大変な曲を非常に上手く歌いこなしていたのが印象的でした。

その次は女性合唱団青い鳥&女性アンサンブル桜組。こちらも皆さん若いです。指揮はキャリントン氏。構成ですとか、演奏のこなれ具合などといった色々な意味で、非常に充実した内容。500年以上前のオブレヒトから、オリーガンによる2001年の曲までという非常に幅広い年代をカヴァする5曲でした。とりわけベルリオーズの曲が良かったです。

次はオルトナー指揮、合唱団響によるメンデルスゾーン。オルトナーの激しいアクション満載の指揮振り、そして全曲暗譜には頭が下がります。厚みと深みのある、そしてまたメンデルスゾーン特有な優雅さをたたえた瑞々しい演奏でした。

休憩を挟んで、ホグセット指揮、女性合唱団彩&松本女声アンサンブルAZによる、シューマン、グリーグなどを含む全5曲。浅井道子さんによる伴奏で、皆様のびのびと歌ってらっしゃいました。

続くキャリントン指揮による少人数のMusic Tree Vocal Ensembleが取り上げたのはタリスの宗教曲3曲。いやー、絶妙です。ちなみに、並び方が面白いと思いました。何でああしたのかレセプションで聞きそびれたんで、後で聞かないと(笑)。

掉尾を飾るのはオルトナー指揮による大合唱団=Tokyo Cantat 2010合唱団で、シューベルトとシェーンベルクというカップリング。どちらもヘブライ語を歌詞として持つ楽曲です。シェーンベルクの方は晩年近い1950年の作品で、『深き淵より』。12音階による凄まじい曲です。うーん、これは歌いたかったですね。こういうのを聴くと、シェーンベルクという人が20世紀後半の音楽にいかに絶大な影響を与えたのかが良く分かります。

以上です。

ところで、来年は恐らく全面的に参加、となるのではないでしょうか。取り敢えず、ヨーロピアンGP直前に、非常に充実したコンサートを聴くことが出来て大変良かったと思います。刺激受けまくりでした。

と、云う事で。