2013年7月アーカイブ

私設サイトの書籍紹介欄に、米澤穂信による第64回日本推理作家協会賞受賞作『折れた竜骨』文庫版を追加しています。

中世のブリテン島辺りを舞台にした、魔術や呪術の存在する世界という設定の本格ミステリです。ちょっとだけ『薔薇の名前』のようなところもありますが、方向性は全く違いますね。いずれにしても、非常に面白い、と思いました。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、阿部和重による「神町」トリロジー第2部にして谷崎潤一郎賞受賞の大著、『ピストルズ』文庫版を追加しています。

上下2分冊ですね。非常に面白い、と思いました。アメリカとの関係が、まさかこういう風に語られるとは。第3部では何を見せてくれるのか、大いに期待しましょう。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、道尾秀介による第144回直木賞受賞作『月と蟹』文庫版を追加しています。

5回連続ノミネートで、というところが凄いですね。概ね半年に一本このレヴェルの作品を書ける、ということになります。恐るべき才能ですね。

そんな道尾秀介ですが、いわゆる真備シリーズの長編を、そろそろ読みたいです。書く予定はあるんでしょうかね。

と、云う事で。

一昨日(7/20)になりますが、勝どきにある第一生命ホールで行なわれておりました、山梨県の合唱団、アンサンブル・カーノの東京公演を見て参りました。以下、ごくごく簡単に感想などを(以下全て敬称略)。

演目は最近個人的にも触れる機会が非常に多い長田弘による詩をベースにしたシアターピース作品で、信長貴富作曲『食卓一期一会』です。指揮は依田浩、ピアノ・須永真美、演出・齋藤千津子、照明・木下泰男そして監修に作曲者自身、というスタッフ構成でした。

この曲、もともとアンサンブル・カーノが委嘱した作品ということになります。この合唱団、山梨県を拠点に活動しているわけですので、東京公演というのは相当な勇気と覚悟が要ったのでは、と慮りますが、まあ、間違っていないでしょう。

ソロあり、たぶん全員による独白あり、合唱あり(当たり前ですが)、振り付けありの作品ですが、非常にクオリティ高く、そしてまた暖かい雰囲気が会場を満たすような公演でした。堪能させていただきました。

加えて、やはり大変な才能と言いますか、楽曲が素晴らしいですね。諧謔さと批評精神に満ちた、傑作だと思います。ちょっと楽譜が欲しくなった次第。

最後になりますが、ちょっと驚いたのが、その集客力。このホールで立ち見、というのは今まで見たことがなかったですね。きっとメンバの努力と人徳によるものと思いますけれど、このあたり、見習いたいところです。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、三津田信三による刀城言耶シリーズ第5長編『水魑(みずち)の如く沈むもの』文庫版を追加しています。

第10回本格ミステリ大賞を受賞した作品です。極めてハイ・クオリティ。そしてまた、非常に読みやすいです。デビュウ以来進化をし続けているこの作家ですが、ついにここまで、という感じですね。ある意味誰にでも推薦できる作品。是非ご一読を。

と、云う事で。

先週の金曜日(7/5)になりますが、上野の東京文化会館小ホールで行なわれていた、東京シンフォニエッタによる第33回定期演奏会を聴いてまいりました。以下、簡単に感想などを。

昨秋の西村朗特集に行けませんでしたので、今回は聴き逃すまい、という感じです。幸いぶつかる予定はなし、でした。

その中身はと言いますと、この団体の創設メンバであり初代代表でもあるという野平一郎氏の生誕60周年記念、ということになります。なので、演奏曲は野平づくし、となります。

委嘱初演が1曲あるはずでしたが、これがやむを得ない事情で演奏されず、プログラム全体が変更になったようです。

以下、曲順に。ごくかいつまんで。

1. 「ドゥーブル」~室内オーケストラのための~(1999-2000/2008改定)
このオーケストラのために書かれた曲で、まだ完成していない、と作曲家自身は語っています。ドゥーブルとは英語のダブルですが、この曲の中では二重、表裏、対立、協調等々、色々な意味を含んでいるようです。そんなわけで、曲の中では様々な音要素が左記のような意味を伴って、互いに切り結んでいきます。何とも鮮烈な印象を与える作品でした。

2. 「もう一つの・・・月」~フルート、ヴァイオリン、チェロ、とピアノの為の~(1999)
これも同じくこのオーケストラのために書かれた曲です。A.シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」へのオマージュであり、かつまたシェーンベルクとの、1世紀をまたいだ対話を試みた作品となる模様です。ある意味古典的な構成による、現代音楽の極北とも言える作品だと思いました。

3. 「アラベスク第3番」~サクソフォンとピアノの為の~(1980-81)
学生時代の曲なのだそうです。楽音、というよりはむしろ二つの楽器が出しうる様々な音の響き合い、ぶつかり合いによって成立している楽曲になるでしょう。作曲当時は極めて実験的な作品だったのではないかと思いますが、楽曲としての出来栄えがやはり素晴らしい。長く再演され続けていることが頷ける次第です。

4. 「挑戦への14の逸脱」~ピアノ、8人の弦楽器と電子音響の為の~(1990-91/93)
休憩を挟んで4曲目の大作へと。

この曲、20年以上前に書かれたものでが、実に日本初演とのことです。何しろ長大な曲なのですが、計14の断章からなっています。その基本的な音構造は以下の通り。ピアノとコンピュータがインタラクションを行ない、そこに弦楽器群が調停者あるいは仲裁者として介入します。ピアノの音はそのままコンピュータに入力されもしますが、鍵盤の動きなどもモニタリングしており、これらの情報から音を生成していく、ということになるようです。

そうして生み出される音像、音響は、まさに圧倒的なものだったのですが、この曲の再演という「事件」は、メタなレヴェルでも非常に面白いものでした。実は、20年前に作られたプログラムが現行のマシンでは到底そのままでは動かず、再現させるためには艱難辛苦があったのだそうです。まあ、そうですよね。

野平氏曰く、どうやら、こうした曲はゴロゴロしているらしい。20世紀後半という時代において、テクノロジと芸術というのは実に不即不離な形で発展してきたと思うのですが、テクノロジ側の進化の圧倒的な加速度は、こんな現象も生み出してしまったわけです。いやー、面白いですね。

テクノロジは相変わらず日進月歩。これからも様々に試行錯誤が続いていくのでしょうけれど、いったいどんなものが現われてくるのか、非常に興味深いところでもあります。

以上、インスパイアされるところが非常に多かったコンサートの、ごく簡単な感想でした。

と、云う事で。

先週の金曜日(28日)になりますが、サントリーホール・ブルーローズで行なわれておりました、JCAA(日本作編曲家協会)主催によるコンサート、The Chorus Plus、に出演してまいりました。以下、簡単に報告などを。

平日なので、14時過ぎから始まるリハーサルに出るためには基本的に仕事を休まざるを得ないわけです。今回は楽器が入りますし、会場も慣れ親しんだところではありませんのでリハーサルは必須。そんなわけで、割と早い時間から溜池周辺へと満を持して乗り込みました。

さてさて、何せ9曲の初演を含むコンサートですので、混声合唱団 空 と、女声合唱団 暁 のみなさんの曲も是非聴きたい、と思っていたわけですが、1曲(糀場富美子によるもの。以下敬称略。)を除いてそのリハーサルを聴くことができました。実にラッキーでした。

プリぺヤード・ピアノを使った猿谷紀郎の何ともすさまじいものから、ハープを中心に据えた先鋭的な原田敬子作品、そして一柳慧によるチェロをフィーチュアした20年ほど前の名曲に湯浅譲二によるごく最近作曲された非常に美しいアカペラ曲まで、実にヴァリエーション豊かでしたね。難曲ぞろいだと思いましたが、見事にこなしておられました。

一通りのリハーサルが終わり、しばしの休憩を挟んで19時から本番です。

我々が演奏するのは木下牧子、小六禮次郎、寺嶋民哉、徳永洋明、山下康介、渡辺俊幸という6名の作曲家による、合唱と何かの楽器(ギター、ピアノ、チェロ、ハープ、トロンボーンといったもの)を組み合わせた作品です。ちなみに、木下作品は女声のみで、小六作品はアカペラ、でした。

今回は結構練習したなー、と言いますか、個人的にもちょっと凪みたいな時期だったので、じっくり取り組めました。適度な緊張感の中、自分の役割は一応果たせたのではないかと思います。

2時間半くらいにわたる長いコンサートでしたが、ヴァラエティ豊かな構成、有働由美子アナウンサーによるアドリブ満載の司会進行、各作曲家らによるトークなどなど、質量ともに非常に充実したものだったのではないかな、と思っています。感想などお聞かせいただければ、と思う次第です。

最後になりますが、私自身の次回出演は8月終盤、草津国際音楽アカデミーでの『ドイツ・レクイエム』になりそうです。その前に何か入るかもしれませんが...。取り敢えずご期待ください。

と、云う事で。