2011年12月アーカイブ

去る12/25(日)、前日のKuukaiによるステキな演奏会の余韻さめやらぬ中、王子の北とぴあにて栗友会合唱団によるプロムナードコンサート&RVEC2011が開催されました。ちなみに、RVEC=Ritsuyukai Vocal Ensemble Contestです。

去年はNYツアーなどもあったため開催されませんでしたので2年ぶり。13時から始まって、忘年会まで入れると21時くらいまでやってたんじゃないかな~。23日くらいからのコンサート聴き疲れ、なんてのもありますので、ちょっとどころではなくくたびれました。

さてさて、ピアノを弾く予定も無いではなかった私の出番は結局1回。コーロ・カロスによる林光作品4曲を連ねたシアターピースっぽいステージです。林先生が入院されて久しいわけですが、何とか容態が好転することを祈っての企画。山あり谷ありな、そして元気になれそうな気がする仕上がりだったと思うのですが、いかがだったでしょうか。

ソロや小アンサンブルで臨んだ皆さんも、あるいは栗友会を構成するどの団もその持ち味を発揮してましたね~。ちゃんと練習できてるところとできてないところの差はありありではあったのですが、皆さん忙しいですからね。これからも色々やりくりしてがんばっていきましょうね。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、村上龍による約4年ぶりの長編小説『歌うクジラ』単行本版を追加しています。

刊行は2010年10月です。ちょっと時間かかりました。電子書籍版が紙ベース版より先に出てまして、こっちの方が話題になりましたね。正直、そっちが良かったかな、と。どうなんでしょうか。念のためリンクを貼っておきます。

『歌うクジラ on WEB』

と、云う事で。

去るクリスマス・イヴの12/24(土)、トッパンホールで行なわれておりましたTokyo male choir Kuukaiによる第7回演奏を聴きに行って来ました。以下、簡単に報告などを。

そもそも何で出ないんだ、とか言われ続けてましたが、まあ、全く余裕ないです。申し訳ない。取り敢えず結構羨ましかったりもしました。でも無理でしたね。

そんな私事は兎も角、演奏会は本当に素晴らしかったというか、期待を遙かに超えるものでした。

第1ステージは信長編『コルシカ島の二つの歌』。女声版・混声版も含めて何度か聴いているわけですが、今回ようやく何をやっているか分かったというか(笑)。とても分かりやすい演奏でした。そうですね~、より深く分かるには一回歌ってみれば良いんでしょうけど、機会に恵まれていません。ESTでこれやっても良いよな、なんてちょっと思ったりする面白い曲です。

第2ステージは早くもメイン・ディッシュな感じのA.ピロ『三人の王のミサ』。オーボエ、コントラバス、オルガンが入ります.超大作ですね。クラシカルでもあり、何となくポピュラーな感じでもあり、な曲。クリスマスなテイストがふんだんに盛り込まれておりまして、まさに今宵に相応しい内容。選曲の妙に感じ入りましたが、演奏もとても良かったです。

第3ステージも何だか凄い内容。「私が選ぶ邦人合唱作品【男声編】」のアンケート上位5曲が演奏されました。順に、多田武彦「柳河」、清水脩「秋のピエロ」、磯部俶「遙かな友に」、三善晃「バトンタッチのうた」、多田武彦「雨」、です。まさに男声合唱の名曲てんこ盛りですね。この辺から皆さん暗譜でして、おー、って感じでした。

第4ステージは第2のメイン・ディッシュとも言うべき信長さんによる編曲委嘱初演曲『クリスマスなんて大嫌い!!なんちゃって♪』。最後にハートが入りますが、そんな文字はないので代わりに音符入れときます。このステージは徹底したエンターテインメント。ソロあり、振り付けあり、なステージでした。演出はしままなぶさん。楽器が7人という大編成にもサーヴィス精神がありありと現われていますね。

以上で終了、と思いきや、最後にもステキなプレゼントがありました。やりますね~。

ところで、このコンサート、入場料は前売りで1,500円だったんですけど、一体幾らかかったんでしょうね。あんまり聞きたくないですね(笑)。

いずれにしましても、ここまでやるのはかなり大変だったんじゃないかと思います。ご苦労様でした、そして、ありがとうございました。ホントに楽しかったです。

と、云う事で。

去る12/23(金・祝)に行なわれておりました、CANTUS ANIMAEによる第15回目のコンサートを聴いて参りました。以下、簡単にご報告などを。

場所は第一生命ホール、開演は14時、でした。このホール、最近しょっちゅう行ってますね(笑)。リハーサルとかそういうのも入れて、10月くらいから数えると6-7回目位じゃないでしょうか。まあ、それは良しとしまして。

コンサートは全部で3ステージ、全体的にフランスっぽい曲を扱ったコンサートです。指揮は勿論雨森文也さん、そしてピアノは平林知子さんです。

最初の曲は谷川俊太郎詩、松本望作曲による『天使のいる構図』。若手作曲家の中でも特に将来を嘱望されているんじゃないかと思う松本望さんですが、これもなかなか凄い曲。『クレーの絵本』を生み出した3人(クレー・谷川・三善)へのオマージュであり、そこから更に一歩踏み出そうというような意欲作で、非常に感動しました。しかし、演奏は大変ですね...。

第2ステージはF.マルタン『無伴奏二重合唱のためのミサ曲』。またまた大変な曲。40人くらいいますので、2群合唱でもさほど問題はありませんが、まあ、大変なことは大変です。そうですね~、人が少ないせいもあり、ちょっとバランスに問題はありました。中規模故、声部が増えることで、突出した声が目立ってしまうんです。難しいですね。でも、静かな熱演、というような演奏でした。

第3ステージは三善晃の言わずと知れた名曲『五つの童画』。最早古典、と言っても過言ではないでしょう。1968年の曲なんですよ。凄いですよね。若い人たちはどう聴くんだろう、なんてことをこの歳になるとたまに考えます。童画がヴィジョンとして浮かんでくるような、表現力に満ちた演奏だったと思います。

アンコールはG.フォーレの小品。実はこれが一番この合唱団に合っているんじゃないかなどと独りごちました。

まとめますと、寒空にはちょうど良い感じの、暖かくて、パワフルで、それでいて知的な味わいもある、良質のコンサートでした。感謝感謝。これからも、名前の通り生命力に満ちあふれた、そしてまた暖かみのあるサウンドを追求していって頂きたいものです。

と、云う事で。

去る12/16(金)、17(土)、18(日)の三日間にわたり、新日フィルによる『第九』特別演奏会 2011に出演して参りました。以下、簡単に報告などを。

今年のソリストは以下のような布陣です。

ソプラノ:秦茂子
アルト:井坂惠
テノール:吉田浩之
バリトン:大沼徹

そして、指揮者ははるばるロシアから来日したニコライ・アレクセーエフ氏。14日からオケ合わせがあったのですが、その指揮っぷりは非常に丁寧な印象。

ああ、ちなみに演奏曲はL.V.ベートーヴェンの『交響曲第9番 ニ短調 合唱付き』op.125、ですよ。当たり前ですが。

会場は16日と18日がすみだトリフォニーホール。17日がサントリーホール、でした。で、16日はある銀行による貸し切りコンサートでしたので、一般にはチケット販売無し、となりました。なお、一般公開が2回だったためか、チケットは両日とも完売だったそうです。素晴らしい!

さてさて、16日は仕事がはけてからになりましたので、ギリギリセーフ。この日は上のような事情で17、18日の前座であるJ.S.バッハの管弦楽組曲が演奏されないため、19時開演で即第九、だったのですよ。うーん、こういうパターンもありなのか、と反省しきり。

それでも何とか一番後ろの席まで声を飛ばすことを心がけつつ全日程終了。

18日には演奏終了後コーロ・カロスの練習と忘年会も入りました。何ともハードなスケジュールでしたね。まあ、常にこんな感じですが。いつになったら暇になるのやら、とか考える暇も無くなりそうです(笑)。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、今野敏によるガンダムZ外伝小説『ティターンズの旗のもとに ADVANCE OF Ζ 上・下』文庫版を追加しています。オリジナルは2002年から2007年にかけて『電撃ホビーマガジン』に連載されていたものです。その後単行本化されていたものの文庫化、となります。

物語は法廷もの。軍事裁判にかけられているティターンズのエリート・パイロット=エリアルド・ハンターが犯したとされる罪の裏に潜む様々な思惑とは何か。弁護を引き受けたコンラッド・モリス少佐は、果たして真実を掴めるのか、そしてエリアルドを救えるのか、というお話です。

今野さんらしくかなり硬質ながら、やっぱりガンダムだなー、と思います。色々な意味できちんとツボを押さえてますね。さすがは今野敏。この作者のファンも、ガンダム好きも、どちらも満足させられるはずの作品だと思います。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、中原昌也による2006年単行本刊行の作品集『名もなき孤児たちの墓』文庫版を追加しています。

この作品により中原昌也は、野間文芸新人賞を受賞しています。新人賞をとったはいいけれど、その後作家としての活動はほぼなりを潜めているようですので、貴重な作品集です。是非ご一読の程。

と、云う事で。

去る12月10日(土)、千葉県文化会館小ホールで行なわれておりました、制作舎 翔 設立15周年記念公演第二弾、加藤道夫作『思い出を売る男』を観て参りました。簡単に報告などを。

金曜日から二日間にわたっての計3回公演でしたが、私が観たのは二日目の1回目、でした。開演13:30。

取り敢えず、私の母校からほど近いホールですので、ちょっと懐かしさに浸りながらの鑑賞となりました。良く考えてみたら話の中身も中身ですね。

さてさて、『なよたけ』などで知られる原作者の加藤道夫という人は1953年に亡くなっておりますので(自殺)、作品はそれ以前のもの。調べたところ1946年に『三田文学』に発表されてます。

舞台は終戦直後の東京。軍服にサキソフォンを持った男が「思い出を売ります」という看板を掲げた路地裏。そこには様々な人がやってきては去っていく。サキソフォンの音色が呼び覚ます様々な形を持った思い出たち。人々はそこで何を見つけ、あるいは何を失ったことに気付くのか。そんなお話。

この作品、書かれてから45年後に、ある意味加藤道夫が育てたと言っても過言ではない劇団四季によって初演され、その後は同劇団のレパートリィとして定着しています。今回の演出や美術、あるいは音楽もかなりそれによっているそうです。ちなみに、音楽は加藤道夫とも関係の深い林光が担当していました。この辺の事情は下記の劇団四季公式サイトに詳しく出ていますので一度ご訪問下さい。

劇団四季版『思い出を売る男』

毎度のことながらこの人たち、アマチュア劇団、ではあるとは言え、良く鍛えられているな、と思いました。演出・台詞などなどが非常に丁寧に練り込まれていて、実に感動的な舞台に仕上がっていました。

もう一つ、前にも述べましたが、この劇団の、古典を地道に、しっかりとやっていらっしゃるその活動ポリシィにはいたく敬服しています。これは何度でも繰り返し言いたいことなんです。そして、若い人がそういうことに積極果敢に参加していることが本当に素晴らしい。これからも宝探しを続けていって頂きたいです。心から応援しています。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、米澤穂信による2008年刊行の作品集『儚い羊たちの祝宴』文庫版を追加しています。

「バベルの会」という幻想・耽美系の読書サークルを仲介にして繋がっているように見える作品5本からなる短編集です。中身はかなりブラックですね。それぞれにかなり高度なテクニックを駆使しておりまして、その辺が凄いと思いました。個人的には今が旬な作家の一人と考えています。是非ご一読を。

と、云う事で。

私設サイト書籍紹介欄に、藤木稟による「バチカン奇跡調査官」シリーズ第5弾、『血と薔薇と十字架』を追加しています。

文庫オリジナルです。前巻から3か月での刊行です。書き溜めていたんでしょうかね。これからもハイペースで続巻が出てくるんじゃないかと、期待しています。

と、云う事で。

去る12月9日(金)、勝鬨の第一生命ホールで行なわれていた合唱団るふらんのコンサートに行って参りました。簡単にご報告などを。

この日は2回公演。昼夜なのですがさすがに昼は行けず。夜も19時15分開演だから最初からいられましたが、19時だったら正直厳しかったです。

演目は『女声のための合唱オペラ コエ・カラダI たびたびオトメ そして旅 ―Yに―』というもの。タイトル長いですね、と思ったのですが、要するに『たびたびオトメそして旅』、の部分が本題です。最初の方は説明で、後ろのは献辞、となるわけですね。

台本と演出は『アシタ ノ キョウカ』でお世話になった加藤直さん、そして曲は港大尋(みなと・おおひろ)さんという方です。当然のことながら委嘱初演。

合唱オペラなので、台詞はかなり多いです。台詞の合間にソロ歌唱含む歌が入るような具合。振り付けなどの動きもかなり凝ってます。で、演奏はピアノとコントラバスとパーカッションというトリオ。この3人が演奏しているのは全面的にジャズ。そして合唱パートはというとゴスペルとかロック・オペラに限りない近いものに思われました。テイストとしては全面的にクラシカルではなくポピュラーです。

事前にというかかなり早い段階に楽譜をチラ見させて貰っていたのですが、合唱譜にもコード進行が書かれてました。なるほどな~、です。そういうものに結構慣れ親しんできた人間なのであんまり違和感なかったですけどね。元々ロック・バンドとかやってましたし。

中身は『アシタ ノ キョウカ』のようなメタ文学っぽい難解系かつ変化球系ではなく(まあ、あれも言ってることはその実かなりの部分フェミニズムなんですけどね。)、結構ストレートな世のあり方に対する批判、なのだと解釈しました。世のあり方、というのは要するにこの世界におけるジェンダー構成のありようです。それを批評・批判している、ということはこの作品の根底にあるのは要するにフェミニズムなんですね。

それはそれとしまして、オトメと言えば川村邦光です。川村邦光はM.フーコーを下敷きにして日本近代における「オトメの歴史」を再構成し直しましたが、加藤直さんの批評スタイルは基本的に唯物史観=K.マルクスです。で、マルクス主義フェミニストの代表は何と言っても上野千鶴子さんです。つまりは、川村的な題材を、上野的な視座で切ってみた、というのがこの作品なのだと勝手に解釈しました。

ホントに勝手な解釈で済みません(笑)。まあ、職業柄なので許して下さいね。

そういう感想は感想として、この台本と曲を、直前まで物凄くバタバタしながらも、結局のところ、何とかこなした、というレヴェルじゃない凄い舞台にしてしまった、るふらんの皆さん、音楽監督で指揮者の栗山文昭先生、あるいは楽器奏者や演出家に振り付け師、そして照明や美術といった裏方さんたちの計り知れない力量には感銘を受けた次第です。ありがとうございました。

と、云う事で。

驚異の定期演奏会から一日おいた12/5(月)、再び東京シンフォニエッタの出演するコンサートを聴きに、明治学院大学白金キャンパスまで出向いて参りました。題して、ジャン-ルイ・アゴベ 東京シンフォニエッタ ポートレートコンサート、です。

入場無料、でした。授業の一環みたいな感じですね。ちなみに作曲家であるアゴベさん、金曜日の四人組コンサートにも、土曜日のシンフォニエッタ定演にも来ておられました。私と行動パターンが近いですね(笑)。

今回の企画は、ゲストであるアゴベさんと、ホスト役で明学大芸術学科助教授だと思われる岡部真一郎氏とのトーク・セッションを前半に置き、後半はアゴベさんの曲を4曲演奏する、というものです。演奏が東京シンフォニエッタ、ということになります。

トーク・セッションでは、作曲家としての半生を語りつつ、曲を作るということがどういう作業であるのか、はたまたどういう発想で曲は出来ていくのか、といったことが語られました。

「現在は電子音楽から距離を置いている、そして身体行為としての音楽というものを追求しているんだ。でもコンピュータが音楽を作る上で今日ではある意味必要不可欠で、そこに様々な可能性があることも分かっているから、いずれはそこに戻るかも知れないけどね。」、なんていう話が面白かったです。

曲は3曲目を除いて日本初演です。1曲目は《レーベン(生命) チェロとピアノのための》(2009)。生命です。音楽技法における身体性を取り戻す、っていう戦略はこの曲辺りに顕著に出ているように思いました。2曲目は《スペクトル(幽霊) フルートと打楽器のための》(2008)。打楽器が凄まじかったです。レジ袋(笑)。

3曲目で我らが東京シンフォニエッタ指揮者・板倉康明氏がクラリネット奏者として登場。曲は《レゾンブル・ダンス(踊る影) 2本のクラリネットと残響ピアノのための》(2006)。板倉氏と、西澤春代氏に献呈された曲ですね。二人とも大変な奏者であることが良く分かりました。

4曲目は《エクリス(副木) 五重奏》(2007-2008)。これがこの日最大の編成。編成はヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、ピアノ、そして指揮者、です。ガッシリとした感じの曲ですね。小編成なのだけれど規模感は大きなものに感じられました。暗算の天才を主人公とするオペラを構想しているんだ、なんていう話をしていましたが、きっとこういう規模感を出すんじゃないかな~、などと想像しながら聴いていました。

さほど取っつきにくいタイプの作曲家ではなく、柔らかい手触りをした曲を書く人だな、と思いました。4曲しか聴いていないので何とも言えないのですが。いずれにしましても、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。アゴベさんを始めとする関係者の皆様、ありがとうございました。

と、云う事で。

私設サイトの書籍紹介欄に、今野敏による超能力ジャズ・クァルテット・シリーズ第5弾『四人、海を渡る』文庫版を追加しています。オリジナルは1987年に刊行。タイトルは『復讐のフェスティバル』、でした。

そうですね、そっちにも書いてますがこれは警察小説であり、ほぼ本格ミステリですね。今野敏のその後、がはっきりと現われています。色々な意味で面白いですよ。

と、云う事で。

去る12/3(土)、東京文化会館小ホールで行なわれておりました、東京シンフォニエッタによる記念すべき第30回定期演奏会を聴いて参りました。以下、報告などを。

1年前の第28回定演=湯浅譲二特集が佐治敬三賞を受賞、そして今回は一柳慧特集です。何だか凄いですね。まあ、それはそれは凄かったんですが。

1曲目は一柳の提案により、彼が最も重要だと考えているらしい作曲家K.シュトックハウゼンの曲を取り上げていました。『ツァイトマッセ 5人の木管奏者のための』(1955-1956)です。うーん、複雑極まりない曲ですね。各パートのテンポ指示が物凄いことになっているらしく(そもそも一律じゃないっぽい)、5人のアンサンブルなのだけれど指揮者必須のようでした。五声部でどこまで複雑に出来るか、なんていう実験性も感じましたね。

2曲目からは全て一柳慧作品です。まずは『弦楽四重奏曲』(1956-1957)。上の曲とほぼ同時期ということになります。ベルクやシェーンベルク、あるいはヴェーベルン、更にはバルトークの弦楽四重奏曲をちょっと想起しました。4楽章構成で、比較的明瞭な音像を持った曲です。古典的な様式も踏まえつつ、その若き日において既に相当高度な飛躍も成し遂げていたことが良く分かる作品だと思います。

3曲目は一気に最近の曲に飛びます。『ビトウィーン・スペース・アンド・タイム 室内オーケストラのための』(2001)。空間と時間の間、です。間だらけですね(笑)。ここでようやく東京シンフォニエッタが勢揃い。50年間積み上げてきたもの、ということになりますね。随所に効果的な形で用いられているトランペットとホルンが私の中に非常に強烈な印象を残しました。

4曲目は再び小編成ものへと。『トリオ・インターリンク ヴァイオリン、ピアノ、打楽器のための』(1990)です。ピアノは一柳自身によっています。何とも感動的な光景でした。「インターリンク・フェスティヴァル」という一柳が立ち上げた音楽祭のために書かれた曲なのだそうですが、非常に良い曲だと思いました。

休憩を挟んでの5曲目は再び一柳自身のピアノを。『レゾナント・スペース クラリネットとピアノのための』(2007)です。ここでも「スペース」という語が用いられていることには注目すべきでしょう。非常にシンプルな小品ですが、随所に作曲家のセンスが光ります。演奏は比較的しやすいのではないか、と思いましたがどうなのでしょう。

そしてラスト。今回の目玉と言って良いでしょう委嘱作品。『交響曲第8番 ―リヴェレーション2011 室内オーケストラ版』(2011)です。一応4つのセクションからなっておりまして、それぞれ予兆、無常、祈り、再生、と題されています。一柳自身がプログラムに寄せた文章の中で語っていますが、2011年頭の、あの災害、そして事故が念頭にあったのだそうです。ここまで5曲聴いてきて、ある意味「一柳大回顧」、をしてきたことになるわけですが、恐らくはそれによって、この曲が、一柳の作曲家としての集大成的なものであることが強く感じられました。大変な作品であり、かつまた演奏も本当に見事なものでした。

以上です。

毎度のことながら、斬新なサウンドにびっくりさせられもし、そしてまた新鮮な感動を味わわせて頂いております。これからも、これはもう「孤高」と言って良いのかも知れない凄い演奏会をお願いします。まずは、フランス公演の成功を心より祈念しております。

と、云う事で。

去る12月2日(金)、津田ホールで行なわれていた全音現代音楽シリーズ・その18『四人組とその仲間たち 室内楽コンサート 現代日本の作曲家《木管と樹齢》』を聴いて参りました。以下、簡単に報告などを。

四人組とは、池辺晋一郎、新実徳英、西村朗、金子仁美のことを指します。今回はこの方たちに若手作曲家である鶴見幸代さんの曲を加えての全5曲からなる演奏会となりました。ちなみに、全ての曲が初演、でした。

全曲、非常に編成の小さな楽曲群です。最初の鶴見作品《デプスレス》は音高の違うサキソフォン3名によるアンサンブル。ミニマリズム、ということになるのでしょう。3人が奏でる単純な音型が少しずつずれていって、ぶつかり合ったり離れていったりを繰り返します。面白いですね。

2曲目は金子さんの《時の層 IV ~透過・合成~》。今度はオーボエとクラリネットによるデュエット。この日の作品の中では最も難解、ではなかったでしょうか。短かく、たかだか2声部の曲ですが、中身は非常に濃いように思いました。

3曲目は新実さんの《サクソフォン・スパイラル》。2本のアルト・サックスのために書かれた曲で、2部構成。IがImpulse、IIがagonyと題されています。ここで著名なサックス奏者須川展也さんが登場。もう一人のサックス奏者新井靖志さんとともに、見事な演奏を繰り広げていました。

4曲目は西村さんの《水の影》。須川さんのアルト・サックス・ソロです。非常に素晴らしい。ちょっと背筋がゾクゾクしましたね。きっと技術的にはとんでもなく大変なんだろうけれど、すっと懐に落ちる演奏でした。取り敢えず個人的にはこの日のベスト・ステージです。

5曲目は池辺さんの《バイヴァランス VII》。これもサックス2名によるデュエット曲。再び須川さんと新井さんです。ここまでがここまでですので、非常に分かりやすい曲調に感じられてしまいました。良い曲、という印象でした。

そんなところです。この日から数日にわたって現代音楽を聴きまくるわけですが、以上、その第1夜の報告でした。

と、云う事で。

去る11月25日(金)、第一生命ホールで行なわれておりました女声合唱団彩(さい)の14回目となるコンサートに出向いて参りました。以下、簡単に報告などを。

19時開演です。これだと結構厳しいのです。19:15くらいに現地に入れましたが、第1ステージにして実は最も聴きたかった寺嶋陸也『朝顔の苗』が聴けず。こればっかりはどうしようもないですね。

第2ステージは魚路恭子さんによる女声合唱とピアノ、ヴァイオリンのための『花、いっぱい』。改訂版の初演になるそうです。手島志保さんの透明感溢れるヴァイオリンと、彫りの深い感じの彩のサウンドがうまくマッチしていたように思います。

第3ステージはマックス・レーガーによる『五つの二重唱曲』(Op.14)。知らない曲です。ロマン派の作曲家ですが、そうですねぇ、兎に角フレーズが複雑。たかだか二重唱なのに、なかなか一筋縄ではいかない感じ。難解かつ、演奏するのも大変な曲だと思いました。

第4ステージは寺嶋陸也による武満SONGSです。6月に合唱団響が混声版を全部やりましたが、今回は女声版編曲委嘱初演となります。ピアノは勿論寺嶋陸也氏です。

『朝顔の苗』も聴きたかったけれど、これが聴けたので取り敢えずは満足、といったところです。本当にステキな演奏でした。

そんなところです。

と、云う事で。