私設サイトの書籍紹介欄に、舞城王太郎の中・短編集『スクール・アタック・シンドローム』を追加しています。文庫版『みんな元気。』の姉妹版と銘打たれた、同じ単行本『みんな元気。』からの作品2本に書き下ろし作を加えたものです。暴力・家族・そして救済がテーマになっていますね。この恐ろしく才能のある作家がこのさき一体どこに向かうのか、非常に興味のあるところです。
と、云う事で。
私設サイトの書籍紹介欄に、舞城王太郎の中・短編集『スクール・アタック・シンドローム』を追加しています。文庫版『みんな元気。』の姉妹版と銘打たれた、同じ単行本『みんな元気。』からの作品2本に書き下ろし作を加えたものです。暴力・家族・そして救済がテーマになっていますね。この恐ろしく才能のある作家がこのさき一体どこに向かうのか、非常に興味のあるところです。
と、云う事で。
私設サイトの書籍紹介欄に筒井康隆のメタ・フィクション『巨船ベラス・レトラス』を追加しています。著作権侵害事件に関する部分がとても面白い、と言いますかそもそも本書の中で最大の説得力とインパクトをもって文学なるものが置かれている状況を表現しているように思いました。しかしひどい話ですね。そういう輩(やから)には社会的制裁をきちんと下さないといけません。
と、云う事で。
これもやや古いので私設サイトの書籍紹介欄からは外しました。文藝春秋から新書として2004年に刊行されたものです。来週から正式メンバとなる合唱団で柴田南雄の『三重五章』という曲をやっておりまして、その関係と、朝熊山絡みで伊勢全般、特にお伊勢詣に関する情報を集めている関係で読んだのですが、大変面白い本です。
さて、この本ですが、副題に「道中日記に見る旅の値段」とついているように、ひたすら伊勢詣を含む江戸時代における旅というものが、一体庶民にとりどのような重みを持っていたのかを、それにかかるコスト面から追求しています。まあ、伊勢詣というのは信仰を言わば方便として、実のところは遊びがその目的の半分あるいはそれ以上だった、というのはこれまでにも様々に語られて来たことなわけですけれど、膨大な額を神楽奉納などに費やしている事実を見ますと、今までイメージとして持っていた以上に結構真面目に参拝していたんじゃなかろうか、という印象を持った次第です。これは、重大な問題ですね。
全体として細かすぎる気がする記述が続いていて、まとめ、とか、考察、といったことがほとんどなされておらず、そのためにこういう検証すべき問題がきちんと論じられていないのがやや残念なのですが、コスト、という一つのことにこだわりをもって記述されたことで非常に具体的な形で江戸時代の旅、というものを表現し得ているのではないかと考えます。是非ご一読を。
と、云う事で。
私設サイトの書籍紹介欄に、宗教社会学者である渡辺雅子氏の近著『現代日本新宗教論 入信過程と自己形成の視点から』を追加しています。幅広い内容を扱っていますが、個々の事例に対しては基本的に極めてミクロな方法論でアプローチがなされています。今日における宗教社会学の一つの在り方を示しているもの、と述べておきましょう。
と、云う事で。
このブログにおける記述を見る限り、最近めっきり読書量が減っているように思われるかも知れないわけですが、実際にはそうでもなくて、結構古い物を漁っていたりします。一昨日までかなりの時間をかけて読んでいたのが、原書は持っていたのに放置していて、3年ほど前にようやく翻訳版が刊行された英国の作家オラフ・ステープルドン(Olaf Stapledon)の『最後にして最初の人類』(国書刊行会、2004。オリジナルは1930年刊)という書物。
私見では思弁的SFの先駆的作品とも言いうるものとさえ思うこの本において、ステープルドンは20世紀から始まってその後20億年に及ぶ人類の未来史を構想しています。その暗澹とした記述に何とも英国的なペシミズムを感じさせながらも、それでもなお、決して人間の営みというものを否定はしないという立場が表明されているように思いました。ここで特筆しておくべきなのはその人並み外れた想像力で、特に序盤に於ける「火星人」との戦争についての記述には驚嘆を禁じ得ませんでした。人類の「終焉」を描くラストのあたりも素晴らしいです。
と、云う事で。